収入上げたきゃ都会へGO! 書評:年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学

大都市 経済学
エンパイアステートビル展望台から見た夜景(ニューヨーク)

大都市部の給料は高い!

そんなことは周知の事実ですが、なぜ、高いのか説明できますか?

どうして、シリコンバレーに優秀な人材が集まるか、東京に一極集中するのか?

この本は、アメリカ経済について触れながら論理展開しますが、

将来の日本を見据える上で為になる名著です。

あなたのキャリアや人生を考える上で、参考になると思います。

読んで欲しい人

☆都市の成り立ちについて興味のある人

☆高年収に憧れる方

 逆に読まない方がいいのは・・・未来について何も考えてない人・・・です。

本の構成

次の7章で構成されています。

  • 第1章 なぜ「モノづくり」だけでは駄目なのか
  • 第2章 イノベーション産業の「乗数効果」
  • 第3章 給料は学歴よりも住所で決まる
  • 第4章 「引き寄せ」のパワー
  • 第5章 移住と生活コスト
  • 第6章 「貧困の罠」と地域再生の条件
  • 第7章 新たなる「人的資本の世紀」

本ブログでは、各章の短い要約を記します。

細かい数字などは省略しますが、気になった方は本書を読んでみて下さい。

生々しい具体例を多くのデータを基に示しており、圧巻です。

第1章 なぜ「モノづくり」だけでは駄目なのか

アメリカの雇用者数における製造業従事者の割合は減少トレンドにあります。

それは、中国などの人件費の安い国へアウトソーシングを行っているからです。

これにより、アメリカは高技能な仕事に集中でき、生産性が向上します。

しかし、安い製品を輸入できる分、肉体労働などの低技能な労働は、他国に奪われることになるため、低所得層はメリットとデメリットを共に享受することになります。

第2章 イノベーション産業の「乗数効果」

従来の製造業に比べて、ソフトウェア産業はあまり人を雇用しないイメージがあります。

(トヨタなどの車産業は多くの人が製造に携わる一方で、GAFAなどは少ないエンジニアで仕事を回すイメージです)

しかし、実際にはイノベーション産業(ロボティクスやライフサイエンスなども含む)の周りには大量の企業が出現するため、業界全体の雇用は増加しています。

これらの産業は国内に留まらない貿易産業であることが多く、外貨を稼ぐことができます。しかもこの産業は高給取りであることが多く、地域の非貿易部門(小売店、医師、ヨガのインストラクター等)にもお金が舞い込みます。

イノベーション産業に携わる人々が町に増える程、地域サービスに従事する人の雇用も増えるんです。

第3章 給料は学歴よりも住所で決まる

給料の高い都市の高卒者は、給料の低い都市の大卒者を、給料で上回ります!

これは別に、都市ごとに高卒者や大卒者の能力が異なるわけではなく、単純に経済が活発な都市に住んでいるだけで高い報酬の恩恵を享受できるのです。

一握りの上位都市の特徴は、大卒者が多いことです。大卒者の割合が増えると、企業の生産性が増し、稼ぎが増え、お金が地域に循環することで都市の住民全体の給料が上がります。

さらに、学歴は健康や夫婦関係、政治参加、チャリティーなどにも強い相関があり、上位都市ほど更に魅力的になり、格差は拡大する一方です・・・

第4章 「引き寄せ」のパワー

なぜ、わざわざ企業は賃金水準の高い都市に集まるのでしょうか?

それは、集積効果のある魅力的な都市だからです。

魅力的な都市の条件は3つあります。

1つ目の条件は。厚みのある労働市場です。これにより、働き手と雇用主のマッチングを容易にします。

2つ目の条件はビジネスのエコシステムです。サービス業者や下請け業者、法律事務所などが都市内に集中することで、起業やオフィス移転のハードルが下がります。

3つ目の条件が、知識の伝播です。オンの時に限らず、オフの時でも顔を合わせて話すことが、アイデアを生み出し生産性が向上します。

これらの条件をある程度満たせば、ブラックホールのように企業と人を引き寄せる都市となります。

第5章 移住と生活コスト

アメリカでは、教育レベルの高い人ほど地元から離れる割合が高いです。

すると賃金の高い都市にそのような人たちが流れ込み、魅力的な街へと変貌します。

それはその街の不動産価格に影響を与え、持ち家の人は資産を増やし、賃貸の人は可処分所得を減らします。即ち都市内でも格差が進行していきます

第6章 「貧困の罠」と地域再生の条件

スターが集まり、魅力的な企業群が集積すれば、イノベーション都市として栄えることができますが、平凡な都市が輝き出すには、政府や自治体などは何をすれば良いのでしょうか?

大量な資金の投入や税制優遇、文化やアートに力を入れるなどやれることはたくさんありますが、人為的な力で都市が様変わりすることは、ほとんどありません

優秀な人材や、将来性ある企業が来たくなるような、呼び水を適切に作らなくてはならず、闇雲な政策は、地域再生を遠のかせます

第7章 新たなる「人的資本の世紀」

そもそも格差は教育レベルの差から起きています。

アメリカでは大卒者の供給人数に毎年大きな変化はないのですが、イノベーションの発展により知的労働の需要が高まっているため、大卒者の賃金は上昇傾向にあります。

それを受け、高度な技能を持つ移民が流入し、様々な人々の交流が促されて、新たなイノベーションがアメリカで生まれています

まとめ

魅力的なイノベーション都市が生まれると、優秀な人材が集まり、さらに魅力的になり、さらに人が集まり・・・(無限好循環)

やはり、リモートワークが叫ばれる現代においても、近くに優秀な人が居て、雑談できる環境が、ビジネスをする上で最高だ!

サプリライオンのアクションプラン ~11個~

・知識を大量に頭に流して、アイデアマシンになる(一生)

・どんな仕事であれ、上流工程に携わるビジネスマンになる(2025以降)

・今、世界が求める技能を探索する(3年おき)

・常に技能を習得し、会うたびに新鮮さを感じる人間になる(常に)

・優れた技能を掛け合わせ特殊人材になる(2025以降)

・外注ができるくらい、個人で稼ぐ(2021年末までには)

専門家とのネットワークを作り、よく交流する(2022以降)

・人を一か所に集めて、イノベーション都市を生み出す(2033頃)

・世界がどの方向に転ぶか分からないため、とりあえず何でも試す(FIREするまで)

・業界の成功者の成功パターンを分析し、自分の行動を顧みる(これから)

・将来生まれる子供にも、最高の教育を施す(????)

著者

モレッティ,エンリコ

経済学者。カリフォルニア大学バークレー校教授。専門は労働経済学、都市経済学、地域経済学。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)国際成長センター・都市化プログラムディレクター。サンフランシスコ連邦準備銀行客員研究員、全米経済研究所(NBER)リサーチ・アソシエイト、ロンドンの経済政策研究センター(CEPR)及びボンの労働経済学研究所(IZA)リサーチ・フェローを務める。イタリア生まれ。ボッコーニ大学(ミラノ)卒業。カリフォルニア大学バークレー校でPh.D.取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

本の登録情報

ASIN : B00JUDYNSS

出版社 : プレジデント社; 第1版 (2014/4/23)

発売日 : 2014/4/23

言語 : 日本語

本の長さ : 352ページ

年収は「住むところ」で決まる ─ 雇用とイノベーションの都市経済学 | エンリコ モレッティ, 池村 千秋, 安田 洋祐(解説) | ビジネス・経済 | Kindleストア | Amazon

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